この美しい癒しに満ちた曲は、同時に途方もない信仰の試練の曲でもあるのではないだろうか。 もし天国というようなものがあるにせよ、みんなそろって行けるというわけではないであろう。「死のふるい」にかけられ、残った者のみが救われるのである。そうだとすると死はなんと恐ろしいものであろうか。 日本ではそういった実感はあまりもたれないのかもしれない。西洋の残酷な童話が一時話題になったりしたが、どうもその残虐性のみがとりあげられ、肝心のところがなおざりになっていることが多いように思われる。しかし、そういった童話の背景には、「死のふるい」があるように思う。 物語の最後では、登場人物すべてが幸せになれるわけではない。人生の最後にある、死という結末もまた同じではないか。残酷な内容は決して作者の悪趣味ではなく、死というものをしっかりと直視したからこそなのである。 この曲もまた一切の欺瞞を排して死と正面から向かい合ったときの、きわめて真摯な感情を静かに湛えている。そしてそれは歌詞からも読み取れる。死と向き合い、バプテスマを意味するともとれる「死の試練」にあずかり、キリストの復活を心の底から真に信じるとき、この曲の内容は完成される。すなわち、死から救われるのである。そこになんと深い宗教的感情のあることか。 この46小節の矮小な楽曲にふれるとき、そのあまりに深く、壮大なさまに驚いてしまうのである。
古楽器の鬼才、コープマン指揮による89年録音のアルバムです。
ディベルティメントには、もともと、「楽しみ、レクリエーション」といった意味があるそうで、身構えて聞く音楽ではありませんが、モーツァルトの創る、何とも、愉悦的なメロディによって、本当に、聞いているだけで、楽しくなる楽曲です。
そこに輪をかけているのが、アムステルダムバロック管弦楽団の古楽器の音色。他のレビュアーも仰っているように、天国ではこんな音が流れているのではと思わせる澄んだ音色で、この愉悦的なメロディを、より、素晴らしい、爽やかなものにしています。
朝の通勤時、あるいは読書時等、聞くだけで、爽やかな気分にさせてくれる一枚です。
バッハ没後250年記念の2000年に録画されたDVD。前半はオルガン曲、後半は「アンナ・マグダレーナのための音楽帳」や「シェメッリ歌曲集」収録の歌曲や小型オルガン、チェンバロのための作品などが演奏されている。 前半のオルガン曲ではドイツ・フライベルクの聖マリエン大聖堂のオルガンが使用されている。コープマンの演奏は往年の切れ味に円熟味が加わってすばらしく、音質も良好で映像も美しい。演奏するコープマンの手や足もよく撮られているので、実際に演奏される方には参考になるかも知れない。不満な点は、BWV565がトッカータだけしか演奏されてないところだ。この曲はやはり続いてフーガがないとどうも中途半端な印象がある。 後半はバリトンのメルテンスが主役である。コープマン指揮のバッハ・カンタータ全集でも不動のレギュラーを勤めているメルテンスは、さすがに伴奏するコープマンとの息もピッタリと合った、安定感のある名唱を惜しげもなく披露している。そのやさしく温かみのある声の持ち主は、風貌も声同様にやさしそうなおじさんである。「パイプの歌(BWV515a)」ではバロック時代のパイプを手でいじくりながら歌っているのがユーモラスだ。 バッハファンなら買って損なしの1枚である。
クラシックは好きですが、詳しい方ではありません。
クラシック集のCDの中で「いい曲だな〜」と思うのがバッハの曲ばかりだったので今回購入してみましたが、もともとバッハが好きだったからでしょうか、聴いていて落ち着きます。
6枚組というのには正直勇気が要りましたが、毎回違うディスクを選べる感じで手軽に聴けています。
曲もCMなどでよく聞く曲が多い気がします。
お値段の割には曲数も豊富で、入門編にはもってこいかも。
明るく、伸びやかな音。
古楽器の演奏ってとてもいいなあと感じました。
某モーツァルトの特番のオープニングに、このCDの1曲目が使われていて、
あまりの良さに、どうしても欲しくて、問い合わせて、やっと手にしたものです。
買ってよかったです。
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