アナ・ムグラリスのファンで、それで観ました。 だので、シャネル、ストラヴィンスキーのことは知りません。 あまり、興味もないので詳しくもありません。
ストラヴィンスキーの才能に惚れたシャネルは、パトロンとなり彼の家族共々屋敷に招き住まわせる。 妻も居る、同じ屋根の下でストラヴィンスキーと関係を持つシャネル。 緊迫感がハンパない。 危ういバランスで保たれた(保たれてない?)三角関係。 「良心の呵責を感じたことは?」という妻の問いに「ないわ」と言い切るシャネル。 強烈だ。(笑)
アナ・ムグラリスが美しく、とても強い。 自立し、独りでも生きていける女性像としては彼女が適任ではないか。 強い視線、凛と伸びた背筋。 自身、シャネルのミューズを務めるスーパーモデルでもある。 服の着こなしは見惚れるほどだ。 ストラヴィンスキーを演じたマッツ・ミケルセンも素晴らしかった。 シャネルと関係を重ね、妻との間に揺れ、迷い苦悩しつつ創作する姿は真に迫っていた。 繊細で、神経質なストラヴィンスキーを見事に演じていた。 そしてなにより、僕的にはストラヴィンスキーの妻を演じたエレーナ・モロゾヴァ。 愛らしく、誇り高く、切なさを帯びた、貞淑な妻。 シャネルとの対比が実に良い。 揺れながらも弱さを見せまいといつも凛とした佇まいを崩さない。 しかし、心のなかは悲しみで押しつぶされそうになっていく。 僕的にやはり彼女に肩入れしてしまう。(笑)
この作品、映像がすごく綺麗で、オープニングからグイグイその世界に入り込んでいく。 それだけとっても観る価値があるかと。
ストラヴィンスキーは敬愛する作曲家の一人です。 画像の中とはいえその作曲家が歩き、指揮を振るその姿に 震えがくるほど感激しました。 N響との協演での「火の鳥」ですが、世紀の大作曲家の来日に 当時の音楽家たちがどれほど歓喜したかが伝わる映像です。 既に作曲家として活躍していた故・黛敏郎や指揮者の岩城さんが こっそりとオーケストラの団員に混ざって舞台にのっている様子が ほほえましい。 映像も音質もさすがに良いとはいえませんが、 付加価値の高い映像だと思います。
ご承知のとおり、ブーレーズにはより新しい録音の「春の祭典」「ペトルーシュカ」のディスクがあります。本盤に比べると録音は優秀、オーケストラのミスもより少なく、音程の精度も上がっています。ブーレーズも余裕綽々で、ゆとりさえ感じさせる貫禄の演奏です。しかし、感銘はこの旧盤の方が圧倒的に上です。新盤の演奏の精度や優秀録音をものともしない生命感が旧盤にはあります。ブーレーズの演奏はよく理論的、分析的といった評価がされますが、それに加え、70年代までのブーレーズの演奏には鳥肌が立つような凄みがありました。ブーレーズという音楽家の究極の「春の祭典」「ペトルーシュカ」を聞くなら、この旧盤だと思います。
不朽の傑作がここにまさしく‘不朽’たりえた.映像作品確立とは当然,ディアギレフのプロデュースした名作バレエの初演をまるごと追体験する手段が,現在及び未来に保障されたことを意味する.演奏・舞踊共にコンディションは抜群で,特に「ペトルシュカ」の趣味の良さは当時の大人気を決定的に裏付けてくれている.
ストラヴィンスキーは、自作を何度も改訂することが多く、この春の祭典(通称ハルサイ)も、1913年の初演後、1947年に改訂しています。ただし、火の鳥やペトルーシュカと違い、ハルサイの改訂はごくわずか、と言われています。従って、CDなどでも、版の表記がされていないことが多いようです。 このドーヴァー版スコアは、初演時のオリジナル版です。最近の演奏は、このオリジナル版によることが多いようです。 20世紀の音楽の代表作なので、20世紀音楽を語る上で、是非1冊持っておきたいものです。
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