3年間中国へ単身赴任した40歳くらいの関西出身の中間管理職の男性が 中国全省制覇を目指す旅行記。
中国のあちらこちらでツッコミまくって、楽しんでいる感じはよかった。 ただ40歳くらいの人が書いて本になって出版された文章として自分には読みづらかった。 なんというか10代か20代の人が書くような、 友達や知り合いに読ませるような感じで。元はそういう目的で書かれた物なのかもしれないけど。
著者夫婦が私財を投げ打って調査執筆した渾身のルポルタージュ。書かれている事柄はまるで小説のようであり、実際にこの世の中で起こっている出来事とは思えない。
この本を読むと、中国の経済発展がいかに「張り子の虎」か、農村部の貧農たちの犠牲のもとで成り立っているか、がよくわかる。日本の左派も、真に人権や平和を希求するなら、共産党政権に擦り寄るのではなく、こうした「虐げられた人々」救済のために立ち上がる、ぐらいの気概を持って欲しいものである。
ちなみに本書は、やはり中国国内で発行されたことからか、「頼みの綱」を共産党政権指導部に託しているが(それでも発禁になったわけだが)、それはどう考えても「叶わぬ望み」であることも申し添えておく。
中華人民共和国(中共)では昨今、都市部と農民の地域格差が伝えられて
います。一方で国の政策に不満をもった農民たちの抗議行動がしばしば起こっ
ていることが報道されています。しかしながら、本書には想像を遥かに超えた現
実がありました。共産党本部、地方組織、警察が一体となって税金や公金を搾
取する現実。そして抗議を押さえ込むための目を覆おうような虐待の数々。元来
中間搾取の無い世界を標榜した毛沢東の共産革命は一体何だったのか。他国
のことながら、驚くと共に絶望を覚えました。
本書は、現代中共の「タブー」に踏み込んだため刊行二ヵ月で発禁処分にな
ったそうです。昨今、中国は将来の成長市場として日本の企業が相次いで進出
していますが、先のソニー製デジカメ問題など一党独裁下の国は大変危険です。
ところで、毛沢東の革命闘争を支え、表面だけのばら色の改革開放政策にエー
ルを送り続けた朝日新聞は、この現実をどう説明してくれるのでしょうか。
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