これ、ハジけてて良い感じ。キャラクターの個性がほんとリアル。ありがちな日常をのぞき見る感覚がまさしくCOOL!
スウィング時代末期、演奏のはねたあとのアフター・アワーのクラブで、有能な一握りのジャズ・ミュージシャンたちが研鑽を重ね、セッションを繰り返していく中で、ビ・バップという新しいスタイルのジャズ、モダン・ジャズの母体となった音楽が誕生した、とものの本には書いてある。 その確かな証拠がここに1枚あるのだ。 ジェリー・ニューマンという若い録音技師が、小型の録音機に収録したこの1枚こそが、ジャズ史を揺るがす歴史の転換点の証明となったのである。 スウィングのリズムと、単純なコード進行に飽き足りなくなった若者たちは、リズムを細分化し、コードも複雑に分解して、一聴難解で喧噪な音楽を生み出した。こうした実験が後のモダン・ジャズに引き継がれ、円熟したハード・バップに昇華するまでには十年以上の年月を必要とするのであった。 ビ・バップはガレスピー=パーカーの歴史的名演だけが出発点でもなければ起源でもない。このアルバムを聴けば、クリスチャンのフレーズ、ケニー・クラークのオフ・ビートを聴けば、それが理解できるだろう。 若き日のモンクに、テディ・ウィルソンの影響が聴けるのが興味深い。後年の彼からは想像も出来ない姿である。 ジャズ史上最大のギタリスト、チャーリー・クリスチャンの吹き込みのほとんどはBGコンボのもので、彼の代表的なソロもほとんどがスウィング・コンボにおけるものである。人種的偏見とは無縁のBGだが、ジョン・ハモンドからの情報で、ギターを弾く若者、と聞いただけで、顔をしかめたというのは有名なエピソードである。 クリスチャンの吹き込みは、仏メディア7が8枚のCDに完全復刻していたが、廃盤化している。米コロンビアの "The Genius of the Electric Guitar" は、これに変わるチョイスとしてお勧めできる。ここに聞けるクリスチャンのソロは、既に時代の先を行っていると私は思っている。
本CDは同年に発売された4枚組ボックスセットのダイジェスト盤として発売されたもの、24ビット・リマスタリングによりちょっと驚きの高音質です、 1939年から1941年の間にベニー・グッドマンやライオネル・ハンプトン等と共演した演奏が収録されています、評者もいずれはボックスセットを購入したいと考えてます、 ベニー・グッドマン楽団の演奏集であれば若干の古色を感じるものですが、本作のようにチャーリーのリードが特徴的な曲のみを集めた作品集となると、あまりに現代的な印象を受けることに驚きます、自身でギターの練習をしている人ほど楽しめることも確かでしょう、 チャーリー・クリスチャンは1916年生まれの黒人ギタリスト、レス・ポールにちょっと遅れたものの最初の電機ギター奏者たちの一人、ジャズにおけるリード楽器としてのギター奏法を確立した人でもある、1942年で結核により25歳の生涯を閉じることでもわかるように典型的な破滅型天才芸人(1942年においては結核は不治の病)、 楽器演奏の歴史としては、ギブソンのアンプが登場したことでギターがホーンに対抗できるリード楽器になったことを実証したのもチャーリーということになる、ブックレット収録の最晩年のレス・ポール自身による「我が友、チャーリー」と題する一文にしみじみできます、
自分が違った時代や場所にいるような気になれるアルバムです。音質も、CDというよりはレコードの味わいが大切にされているとおもいます。二人の選んだそれぞれの曲がジワーンと、すごくおいしいお酒が体に流れ込んできたように実感できました。アルコールのダメな人は村上春樹のエッセイでも同じ体験を味わえます。聴いてよかった。
本書は、汎用的な原点回帰のマストアイテムであると体感しました。 特に、リズムの使い方について学ぶところ「大」であります。
さらに研究を行うのであれば、「 Swing to Bop: The Music of Charlie Christian: Pioneer of the Electric Guitar (リング製本)」 をお勧めします。 高価でありますが、ギターのみのトラックが入ったCD2枚とラインの解析も付属しているので、さらに多くを知ることができます。
初めてジャズ ギターのソロコピーをしてみようとお考えの方には、良い本となるでしょう。 2冊もそろえれば、こだわり贅沢なご馳走といったところでしょうか。
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