バルカン半島の歴史がヴィジュアル本で楽しみながら読める良書です。 この「ふくろうの本」シリーズのなかでも本書は、かなり上質の出来映えだと言ってよいでしょう。 美麗な図版が豊富に掲載されているうえ、コンパクトにまとめられた記述が当を得ていて、はじめて「バルカン半島史」を読む方々にも分かり易い内容になっています。関心のある人は是非とも御一読を。
可愛いパートナーと一緒に頭脳トレーニングとは言っても、実際のゲームとしては文字数えや単語記憶なので、その部分ではキャラクターはあんまり関係ないけど、出題される問題がことごとくオタク向けで面白かった。萌えだけじゃなくて燃える!
問題を解くとイベントが発生して、記憶をなくした主人公がパートナーと仲良くなっていく。パートナー別のストーリーになってるんだけど、個人的には「素直クール」が良かった。正直、ちょっと泣きそうになった。
現地調査って膨大な手間がかかりそうでも、直接人間に会ってそこから引き出されたものが面白くないわけない。言葉があって生活があるのか生活があって言葉があるのか。うちの裏山を越えたら隣の国、といわれてもピンと来ない。バルカン地方とはそういうところなんだと考えさせられる。地域性とか民族というものを大切にするのはいいけど、極端は不幸の元。自分の足を踏まれたくなかったら隣人の足も踏まないように気をつけなくちゃね。
書名のとおり、バルカン地域の通史です。そもそもバルカンという名称でどの国・民族を指しているのか、その文化的・環境的理由を述べる序章から始まり、古代から九十年代までをフォローしてます。編者も述べているように、この地域の研究に当たっては、言語の壁などもあって、一人の方が通史を書ききるということは特に難しいようで、五人の研究者の手になる編著となっていますが、それでも、全体的にはそこそこ通りがよい叙述になっているかと思います。特に九十年代の紛争に焦点を当てるという意味では、同編者の『ユーゴスラヴィア現代史』の方が簡潔で分かりやすいですが、より本格的にこの地域の歴史を知りたいという方には、本書は起点として有用ではないでしょうか。
私は英文の原文しか読んでいませんが、海外ではいろいろ評価が分かれて強い反応を引き起こした本のようです。この作品の基本的なメッセージに賛成するによ、反対するにせよ、この日本人にはなじみの薄いこの地域に取り組むには、やはり最初に読んでいた方がいいと思われる本です。この本の特徴は、最初に、バルカン諸国を非常に広く捉えている点です。クロアチアからギリシャまでがその中に含まれています。特にギリシャの歴史の”神話”についての彼の分析は、非常に”挑発的”でこれまでとは違った視角に眼を開かせてくれます。第二にバルカン諸国を基本的にはヨーロッパの延長線上ではなく、オスマントルコからの影響という視角から取り上げていることです。第三に、この場所を、共産主義崩壊の前の時点で(1980年代後半)、東西のイデオロギー対立から切り離して、より射程の長い歴史の業に翻弄される統制不可能な力学の観点から捉えなおしたことです。第4に、この著作は、忘れ去られていたいくつかの著作(rebecca west,durrellやmanningの作品)の再評価を副産物としてもたらしたことです。作品のトーンはあくまでも暗くpessimisticですが、ひとまずこの絶望的なまでの描写を味わってください。
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