今日テレビで最終回を見ました。 確かにクセのある作品だし、好みは大きく分かれそうですが 1話見てピンときた人には、安心して最後までお勧めできます。
基本、主人公の一人語りで延々と進むワケですが 退屈することなく最後までテンション高く見ていられます。 練られた台詞まわし、大胆にして繊細な演出。 回を重ねることで、無意味に見えた些細な事柄が意味を持ち始める。 一話の無駄も無くすべてがそろって完成する作品。 見事な完成度でした。
1,2章を読んでいる間は、「ユニークだな」「漫画みたいで読み易い」と思っていました。 しかし、3,4章では、「学芸会みたいでレベルが低い」と思ってしまいました。
理由は分かりません。 内容的に、1,2章が”不思議な世界”なのに対して、3,4章が”想像可能な学生の世界”に見えたからかもしれません。または、”不思議な文体に慣れて、新鮮味を感じなくなった”からかもしれません。
どちらにしても、もう、同種の作品を追加で読みたいとは思えません。
理屈っぽくて可愛いらしい小4の少年が語り手の物語です。子供独特の感性で世界をよくとらえ、表現されているなと思います。 宇宙、海、人の死、初恋?、冒険…子供の頃感じていたあらゆる物事への神秘性や怖さを主人公のアオヤマ君が思い出させてくれます。日本SF大賞受賞ということですが、SF要素は薄いですね。全体的に落ち着いた雰囲気の綺麗な物語です
山上たつひこの傑作まんが『喜劇新思想体系』と遠く響き合う個性的な作品である。作者の母校京都大学、京都が舞台。 文体のリズムが良く、リフレインされる、「人生の定めとも言うべき」口上のパターンが時に五月蠅く感じられるものの、作者の狙いはそこにこそあるのだ。 主人公は大学生活を始めるに当たって、4つのクラブに入る選択肢を持ってるが、一度の学生生活ゆえにそのうちの一つしか選ぶことは出来ない。それら4つのあり得た学生生活をそれぞれ描いているが(パラレル・ワールド風)、どのクラブに入っても常に他の3つのクラブに入っていればなあと悔いる。 そこにはバラ色の学生生活があるかに思われてくるのだ。 しかし、いずれのクラブを選んでも代わり映えはしない。いや、大きく変わると言えば変わってしまうのだが、いずれも不本意なのだ。つまり、不本意である(本当の自分はこうではない)という思いを抱く点において代わり映えしないのだ。 あとは読んでいただくとして、しかし以上のごとき作品ながら陰惨ではない。軽重いずれにしろ学生時代を悔いる人に、読後は苦い、しかし切ない笑いを抱かせ、少々元気も出て来るという、最近珍しい味のある小説だ。それにしても(小生も学生時代を彼地で送ったが)京都は田舎だナー。
学歴コンプレックスの連中が京大だからと批判し京大卒の馬鹿どもが周辺地理を面白がる。この作品はそれだけの価値しかないのか?否、この作品は、日本語を愛し、もてないで悶々と過ごした青春時代をもち、自分というものの価値を信じているすべての男性のための切ない物語だ。そして、私はそう読めなかった人たちがうらやましくてならない。おそらく、男臭さむんむんとする部屋で友人と語り続けてた経験もなく成長されたのだろうと思うからだ。しかし、この作品はそういう人たちに読まれるべき作品ではない。女性にもスポーツにも縁がない学生時代を持つ(生きる)人にこそ読まれるべき作品なのだ。
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