映画『Talk to her』でカエターノの歌声を聴き虜になった。数あるアルバムからどれを購入するか迷ったが、映画サントラやベスト盤はどうしてもアーティストサイドの脈絡がなくなってしまいがちなので避け、最初の一枚としてこのアルバムを選んだ。結果、大正解。アコースティックサウンドがなんとも心地良く、リマスタリングも素晴らしい。映画で使われたCucurrucucz Palomaはもちろんないが、代表作coracao vagabundoも収録されており、カエターノ・ワールドの入り口として適当だったのではないかと思う。南米の音楽をあまり聴いたことがない方でも、違和感なく溶け込める。名盤といわれるだけある。
以前観た来日公演でも演奏した「Luz Do Sol」を筆頭にアコースティックで
静かな曲が並ぶカエターノの美しくもどこかもの哀しい哀愁漂う名盤。
伴奏もほとんどないガットギターと歌だけのシンプルで奥深い作品。
ビートルズ、マイケルジャクソンらのカヴァー曲もカエターノの
マジックでかくも美しいサヴダージなバラードに。
坂本龍一もカヴァーしたジョビン作「Coracao Vagabundo」のセルフカヴァーも
オリジナル版とはまた違う味わい。
1960年代後半のトロピカリア・ムーブメントを通過後の1986年に吹き込まれた今作は
まさに大人のブラジリアン。
人気のいない秋の海、夜の雨の静かな部屋、そんな映像が浮かんできます。
以前のビデオ版では22曲92分の内容でしたが、本DVDは16曲62分に短縮されています。 個人的には、必殺の「Pecado」がカットされたのは残念・・・。 しかし、字幕付きで解説も付いた貴重なカエターノの日本盤DVDであり、内容は最も一般受けしやすいと個人的には思う、この95年の「粋な男」ライブ、あるうちに買え!です。
驚異的に美しいカエターノの声、カエターノの弾き語り、ジャキスのチェロと指揮するオーケストラ・・・音楽がなだらかに流れていきます。 ラテンの名曲群の中に、「想いあふれて」(歌う前のカエターノの表情に注目)や自作「レオンジーニョ」、「ハイチ」も楽しめました。 白眉は無伴奏独唱の「満月のトナーダ」、切り捨てるような唐突な終わりがなんとも「粋」。
おすすめします!
P.S.「シルクラドー・ライブ」のDVD化を強く望む!!!
2010年12月リオでのライブ録音。 シンプルだけど、繊細さとは少々違うプリミティブでざっくりとした声とギターの世界。 マリア・ガドゥの、ハスキーで情感はあるけど湿っぽくないボーカルとカエターノのボーカルの相性はとても良いと思います。
ジー・イ・ジーのライブ、ホベルト・カルロスとの共演盤、デビッド・バーンとの共演盤、最近のイヴェッチ・サンガーロとジルベルト・ジルとの共演盤、これらは日本盤が出ていない・・・。 誠に残念な状況ですが、このマリア・ガドゥとの共演盤はめでたく日本盤が発売されています。 愛に満ちた中原仁の解説と国安真奈の訳詩が付いています。 二人の詩の世界も、そのサウンドと共に堪能できることの幸せ!
CD1は、D1からD11がカエターノとマリア・ガドゥのデュエットです。 D12のカエターノ作をマリアがソロで、D13のマリア作をカエターノがソロで歌います。 D13は観客の静かな合唱が心地良く(みんな上手!)、歌う国民ブラジルでのライブならではの楽しさ!
CD2は、ソロ・パフォーマンスで、D1からD6はマリア、D7からD13がカエターノという構成。 後半の静かな、でも確実に熱を帯びた盛り上がりが良いですね。 D12「ソジーニョ」での客席からの「アキーィー!」という「プレンダ・ミーニャ」盤と同様の合いの手が楽しいです!(ライブの定番なのでしょう) そしてD13「アレグリーア・アレグリーア」の熱! あの灼熱の時代の片鱗が漂うかのように、カエターノのボーカルも熱いのです。
「アレグリーア・アレグリーア」 ・・・ハンカチも身分証も持たずに ポケットも両手も空のままで なぜなら、このまま生きていきたいんだよ だから進む いいじゃないか・・・
断然、おすすめのライブ2枚組!
映画「フリーダ」を観ている途中に「泣き女」の歌なるものを歌う老女のシーンに圧倒された。映画全編を通して流れるメキシコの歌をやりすごしていたけど、ここで強烈に立ち止まらざるをえなくなる。暗い酒場でフリーダの目の前で淡々と語るようにそして叫ぶように歌うこのシーンでサントラを買いたくなった。「また聞きたい」そう思わせる。あの老女のハートが伝わった。切なく強いメキシコの女のハートを受け取った。何回聞いても飽きない。既に買ってからリピートかけて毎日聞いている。オープニングから気持ちが高揚し、かつ心をメキシコへと誘ってくれる構成がメキシコ文化へと意識を向けさせた。映画を気に入ったなら間違いなくこれを聞いて心はメキシコへ。
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