ノルウェイのビクトリーロイちゃんのばっちり雑記帖

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ナニカアル 「IN」における島尾敏雄「死の刺」の文体模写を凄いと思ったが、今回は林芙美子になりきってしまった!桐野夏生、凄すぎる。林芙美子の隠されていた私的な記録、という形で、林芙美子の作品としてのフィクションを書くという発想も、それを書く勇気も、他の作家にはないものだろう。
「IN」でも感じたが、桐野氏にとって小説とは、純粋な芸術作品でありながら、編集者と共同でつくりあげるものだ。プロの女流作家ならではの意識で、飾りのない真実だと思う。だからこそ、裏切られた時の苦しみは、女として作家としての全てを全否定された、地獄の苦しみとなる。今回の作品では戦時下の作家活動という深刻なテーマも絡み、描かれるのは、まさに血を吐くような命がけの恋愛であり、創作なのだが、対する男のほうは、それだけの覚悟があったのだろうか。編集者に見放される芙美子の凄絶な苦しみが作者の痛みと重なって、熱く揺さぶられた。と同時に、他の女流作家をともすれば「甘い」と思ってしまう芙美子の作家としての強さ、したたかさも、桐野氏本人に通じる魅力だ。
 綿密に調べ上げた史実や、風俗の柱をきっちりと構築した上で、自在に羽ばたく創造力、芙美子に憑依する作者の語りの強度に圧倒させられ、一気に読んだ。
 終わりのほうで、編集者・謙太郎とばったり会う場面にはっとさせられた。この、何気ない場面が書かれたことで、あれだけ激しい恋愛の末、子どもまで身ごもったのに、ひとりで産み、育て、小説を書き、死んでゆく芙美子の姿に、女の怖さをまざまざと見たからだ。きっちりと閉じられる物語が、フィクションとは思えず、鳥肌の立つような思いで読み終えた。

水上カオリ画集-宝石匣- 表紙のイラストを見て衝動買いしてしまいました。表紙買いだと失敗することが多いのですが、この画集はアタリでした。
作者様の名前すら聞いたことが無かったのですが、とても好みの絵柄で目・唇・手の表情などにこだわりが感じられました。シチュエーションも様々なので飽きずに楽しめます。
表紙をみてピンときた方は買って損は無いと思います。

「世界の中心で、愛をさけぶ」 朔太郎とアキの記憶の扉 [DVD] 早速届いて見てみました。
僕の場合は原作を読まずに映画を見てこのDVDを見たって感じです。

このDVDの内容に多少の物足りなさを感じてしまいました、未来君やまさみちゃんのナレーションは良いのですが、感動的に流れる音楽がシーンが変わるとフェードアウトしちゃうのです。せっかく感動的な気持ちになってきたのに・・・って感じでしょうか。バックミュージックが内容の良し悪しを決定してしまうと考える人にはお勧め出来ないかな。

でも映画では発見できなかった事が分かったりするので見る価値もあると思いますよ。

原作のレビューを見るとどちらかというとイメージが良くないようですが僕はこの映画やDVDは感動するしないに限らず見たり読んだりする価値は少なくともあるような気がします。

今の時代に製作されている映画やドラマにない素朴さや感情というものを垣間見れるような気がするのです。


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