面白いのは、著者が3回もザビヌルから怒られたことを暴露。ショックだったのは、ザビヌルの音楽作曲法だ。インプロヴァイズを重要視する彼の曲作り・・これ以上は言えない。 その深遠な意味とブルースの解釈、マイルスやジャコ、ショーター等との関係、もちろんウェザー・リポートのことも、等々・・ジョー・ザビヌルの全てがこの本には書かれているようだ。掲載楽譜も自筆が殆どだから読みづらいのは当然だがかなりの量である。まったく著者の音楽への探究心には脱帽である。
1969年前後のマイルスは、ファンク、アフリカ、ロック、インドそしてキーボードアンサンブルなど、ジャズの圏外へどこまで飛翔できるか様々な実験を行っていたことは、ビッチェズブリューボックスで明らかになっています。このビッグファンは新作を出さないマイルスのボツ作品を集めてリリースしたもので、「グレートエクスペクテーションズ」と「ロンリーファイヤー」が、シタール導入の演奏です。結果的にこの「インド・マイルス」ごく一時期タブラなどを導入した以外はボツになったようで、少々残念な気がします。というわけで、あまり日の目を見なかったインド・マイルスです。
とにかく参りました…。スティーブ・カーンの空間を切り裂くような鋭角な、だけど奥行きと広がりと浮遊感を持つ美の極致のようなギターの旋律が、あの後期ウェザー・リポートの音宇宙の上に乗っかっている…。音源が今のところこれしかないのが本当に悲しいほど、不思議で美しく透明で浮遊する、それでいてジャズが持つわくわくするような展開が繰り広げられています。管楽器の代わりにギターという意味ではザビヌル・シンジケート的な音ではあるものの、ザビヌル・シンジケートとの無国籍な(あるいはアフリカやインドなどの第三世界的な)サウンドビジョンまでは発展していない、かなりウェザー・リポート的な(あくまで西洋側の)美しさや流麗さが醸し出されているように思いました。「Update」から「Consequently」にかけてスティーブ・カーンがメロディを弾く部分が自分にとってのこのDVDのハイライトではありますが、ウェザー時代の曲もまた違う趣で、その意味では文句なしの演目・演奏だと思います。
DVD作品としては残念ながら音がイマイチで、レベル調整が雑で一番の盛り上がり部分で録音レベル(ボリューム)が下がったりすることがあります。また、メンバーがザビヌルの細かい指示を待って演奏している感じが否めず、ザビヌルが何をやっても「試している」ような感じがすることがちょっと気になります。
それでもこのメンバーで、しかもライブ映像が見られたのは貴重なことであり、発掘してくれたレーベルに感謝したいです。
日々進化し続けるanyango!
アフリカの民族楽器「ニャティティ」を駆使し、
熱いビートを奏でるanyango!
もう、民族音楽の領域にのみ留まっている演奏ではない。
ワールドワイドな一枚。
最近はその知名度がいまひとつの印象があるが、やっていることは凄いジョー・ザビヌル翁(失礼!)これは、そんな彼の自叙伝ではないが、彼への取材を回想録的にしかも、第三者的に記述した非常に優れたものである。JAZZ関係の書物を多く目にしてきているが、かつてこれほどに密度の濃いものがあったであろうか?JAZZファン必見の一冊である。
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