学生時代からの友人である近藤啓太郎氏に、半ば強引に押し付けられた紀州犬のコンタ。最初は渋々だった著者だけれど、一緒に暮らすうちにコンタの性格をこよなく愛するようになります。犬は飼い主に似ると言いますが、(著者は認めていませんが・・)扉ページのコンタとの写真を見ると著者とコンタは顔つきまでそっくりに見えるではありませんか。
犬好きの作家仲間の逸話も面白く、ダルメシアン→ダメニシアンなど笑えます。(おねしょした布団をかぶって歩いているような犬だそうです。)15年の間寝食を共にしたコンタ。「コンタの上に雪降り積もる」この文章の中に著者がいかにコンタを慈しんできたかがあらわされているように思います。
ユーモアのある文章、思わず笑ってしまうようなエピソード、べったりしていない犬との関係。とても読み応えのある本でした。
『僕の昭和史』を先に読み、本作を読んだものなので、あの教育ママで見栄坊だった氏の母堂が 痴呆となり死にゆく光景はとてもリアルな感じがした。 また誰しもがこういう光景に出くわすものだろうなとも思った。
新幹線のなかで読もうと手にしたこの本。とても読みやすく、しみじみしました。高齢者とはどんなことを考えて、日々過ごしているのか、片鱗が感じられます。自分もあっという間に、同じ立場になるのだろうと思うと、とても勉強にもなります。まだご存命で、今年で92歳とか、驚きました。寿命と健康って、不思議ですね。
とても素晴らしい本です、前半、人間の生活とは本来こおゆうものなのでは?と実感させられます。実際あった出来事なのでかなりリアルです。
「すぐれた小説家のみが、すぐれた批評家足りうるのだ」 という意味の発言を、筒井康隆さんがされていた。 その通りだと思う。 読書という行為のダイナミズムを「わかっている」村上さんだからこそ、こんなに面白い批評が書けるんだろうな。知識の集積だけではなかなかこうは書けないもの。
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