佐武ちゃんと市やんの友情に触れると気持ちが和んでしまいます。 二人の関係がとても好きです。 この作品で一番魅力を感じるのは私の場合は、そこですね。 それと石ノ森氏ならではの絵で物語を進める構成は凄いですね。 江戸の庶民の視点から世の中を映したセンスも素晴らしいと思います。
石ノ森氏の絵が素晴らしいです。
背景に黒がたくさん使われています。
暗さ、重さを感じさせるのですが、ふと連想したのは江戸時代の家屋の暗さです。
今のように電気の照明のない時代、蝋燭の明かりが照らしています。
夕方になれば、人の顔が判別できないほど暗かったとか。
この暗さ加減をイメージしました。
江戸時代の武士ではなく町人文化に軸足を置いた視点が魅力的です。
脂が乗ってきた、という感じです。
次々と起きる怪事件を大人っぽくなった佐武ちゃんが追いかけます。
市やんは、これまで斬った亡霊にとりつかれますが、佐武ちゃんの友情で均衡を保ちます。
二人の友情が縺れた糸を手繰り寄せていきます。
石ノ森氏の絵も冴え渡っています。
自在のコマ割と墨が重々しい男と女の深い情を描いていきます。
堪能しました。
このシリーズは巻を重ねるに連れて面白さが増しています。 江戸の町を鳥瞰したような構図。 市やんの居合い。鉛筆書きのような場面もあります。 若造から一端の十手に成長した佐武やん。 怨み、嫉妬、道ならぬ恋。 どれも隠しておきたいことばかりですが、その秘めた思いが事件を生み出します。 浮世絵を物語にしたような抒情感がたっぷりと染み込んだ事件簿です。 石ノ森氏ならではの世界だと思います。 凄い。
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