なぜ、ピルチャー女史は、こんな温かな物語を紡ぎだせるのでしょう。
読み終わって、「よかったぁ〜^^」と思わなかったストーリーはありません。
主人公のキャロラインとオリヴァが出会うのですが、途中まで、
「ピルチャー女史にしては、ストーリーが寒くないですか???」と感じていました。
オリヴァは、女好きの冷ややかな人間なのかなと。
それが、冬景色から雪解けの季節の爽快さのような変化が、ある時を境として人が変わるのです。
人間の心の変化・雪解け。優しさの生まれる瞬間。
こういう描写を読むと、人って変われるものだなぁ〜と思います。
忘れてはいけないのが、主人公キャロラインの弟ジョディー。
彼の愛らしさ。彼の愛らしさが物語をまた温かなものにつなげてもいるのですねぇ〜。
楽曲そのものに凝ったことは(多分)それほど含まれていなく、
シンプルなピアノの味わいを感じることが出来ると思います。
それでも旋律は鮮やかで「動」と「静」を含んだ豊かなものになっています。
「The Wind Forest」や「Innocent」などスタジオジブリで使われた曲の
ピアノソロも含まれており、映画で得た感動とは一味違うものが得られると思います。
角川ヒロインはリアルタイム世代で特に「知世ちゃん」 とは同学年で大ファンでした、先ほど結婚されてうれし い限りです。 尾道三部作BOXなんてのもあってもいいかも。
NHKで現在放映されている時代劇「夏雲あがれ」が、思いの外よい出来で、原作を読みたいと探していました。
直接の原作は同名の著作ですが、その前作がこの「藩校早春賦」です。
大きくは話の流れもあって時系列になっていますが、各章それぞれで読み切りとも感じます。
藩校の剣術所教授方を決める御前仕合を描いた「学びて時にこれを習う」をはじめ、続刊の「夏雲あがれ」で触れられるエピソードも多く、先にこちらを一読しておくと、より楽しめます。
主人公・筧新吾の性格そのままに、ストーリーも、さわやかに青春の旅路を駆け抜けていきます。
もし今、この作品をリメイクするなら、前田敦子と堤真一だろうかなどと思ってしまう。
どこか中世的魅力の少女と、男っぽさと上品さのある役者とがうまく絡み合わないと、単なる下司な作品になってしまうだけだ。
そういう意味で、原田知世と林 隆三のコンビはよく合っていたと思う。もちろん、演出も抑制がきいていていい。
大作とは言えず、まさにプログラム・ピクチャー的作品だが、観客に忘れがたい印象を残す。
心のどこかにしまっておくために、観ておいた方がいい作品。
しかし、その後澤井信一朗監督があまり作品に恵まれないのは残念だ。
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