著者が自ら意図した出版ではなく、 逝去後に様々な文章の中からセレクトされたものを1冊にまとめた本。
著者は、芸大でトランペットを専攻、ポリドールレコードのクラシック部門に勤続しつつ、 リコーダーとバロック奏法を学び、執筆活動を展開。
「この10年ほど、音楽的な関心は古楽に集中して」きたと著者は書く。
「目隠しをされた馬車馬のように、自分の楽器や当面する曲にしか関心がなく、 解釈も演奏も従来型の通念を一様に押し当て、難技巧をひけらかすように“圧倒か、それとも失敗か”と奮闘する クラシック音楽レースの競争者たちの演奏には関心が薄れた」という。
そのかわりに「のびやかに自由に開かれた態度で、作曲者、作品、楽器、楽譜、演奏慣習に興味を持ち、 音楽を名演奏の枠や価値観に固定せず、作品が内包する種々の可能性を、演奏を通じて解き放つ」 古楽に惹かれていった。
本の中には、その具体的事例がふんだんに記されている。
第1章に掲げられている3つの名前、 ブリュッヘン(リコーダー、指揮)、ビルスマ(チェロ)、インマゼール(鍵盤楽器、指揮)には 格段の思い入れがあり、読んでいると著者の前掲した姿勢と、息せき切ったような様子が伝わってくる。
この3人の場合は、ポートレート写真が掲載されていて、そのどれもが素晴らしい。 なかでもビルスマが、ステージの上に置かれたピアノの前でチェロを弾いている写真は、 左手で弦をおさえ、右手で弓を構え、やや小振りなチェロを演奏しているだけだが、 彼の表情と自然なチェロとの一体感は、何度見ても初めて見るような何かがあって、じっと見いってしまう。
巻末に黒田恭一氏の追悼の意を込めた推薦文がある。
グスタフ・レオンハルトは古楽界随一の巨匠となった感のある演奏者です。 その80歳記念という形で、この様に廉価版で15枚組というものが出たのは嬉しく思います。 「現代のバッハ」の名盤ぞろいといえます。 お買い得なセットだと思います。バラで1枚ずつ買えば2〜3万円はかかるでしょうから^^;
「涙のパヴァーヌ」という曲が聞きたくて、手に取りました。
この「涙のパヴァーヌ」は、元々は16〜17世紀に英国などで活躍したリュート奏者ダウランドによって作曲されたリュート歌曲です。
このCDに収録されているのはこの曲を元に、オランダの作曲家ヤコブ・ファン・エイクがリコーダーの作品として作った変奏曲です。
エイクは盲目の音楽家で、教会の中庭でリコーダーの演奏をして人々を楽しませていたそうです…。
そんな風景を想像しながらこの曲を聴いていると、頭の中がふっと17世紀に飛んでしまうような、そんな心地良い感覚になります。
もう一曲。この次に収録されているコレルリのソナタ≪ラ・フォリア≫。
もう、ただただ聞いているだけで心地良いといった感じ。
もちろんブリュッヘンのリコーダーが本当に素晴らしいのですが、ビルスマのチェロと レオンハルトのチェンバロも素晴らしい!
余談ですが、私はビルスマの演奏するバッハの無伴奏チェロ組曲を聞いてから、彼の演奏がとても好きになりました。
この<ラ・フォリア>、元々はヴァイオリンの為に書かれた作品ですが、私はこのリコーダーによる演奏の方が好きかも…。
60枚組と、バロック物の類ボックスでは最も枚数が多く、ソニー製なので安心して聴けます。
ただ内容は、60-70年代のSEONレーベルのレオンハルト、クイケン兄弟、ビルスマなどの古楽演奏や、パイヤール、リリングなどの一時代前のモダン楽器演奏などのセットです。
特に後者は、今さら・・・というやや古くさい印象で、特にオリジナル楽器の演奏に慣れた方からは不満かもしれません。
しかし前者の旧SEON名盤だけでも、充分買う価値はあると思います。
演奏にさほどこだわらない人にも、バロック入門として価値があります。
すでに持っているCDが多い方は、買わなくてもいいでしょう。
バロック音楽をある程度聴き込んでいる方には、DHMのセット 50枚組の方が、内容は優れていると思います(ややマニアックですが)。
収録曲は、米アマの同CD(Baroque Masterpieces/Various Box)に詳しく載せている人がいるので、確認してみるといいでしょう。
ちなみにバッハの無伴奏チェロ組曲は、ソニー(SEON)の売りの、ビルスマ盤 は収録されていません(Guido Schiefen による演奏)。
また無伴奏ヴァイオリンはRudolf Gahler によるいわゆる「バッハ弓」の演奏で、一般的な演奏ではありません。
LPを持っていますがぜひCDでも聞きたいと思い、あるCDのバーゲンで買いそびれてこのサイトで見つけオーダーしました。 録音時期が不明とのことではじめて投稿します。 わたしの持っていますLPには次のような記述がありました。 Artisit:Gustav Leonhardt(harpsichord) Instrument:Harpsichord by Martin Skowroneck,Bremen 1962,copied from a harpsichord by J.D.Dulcken,Antwerp 1745 Recording:28 and 29 April 1965 in the Hervormde Kerk in Bennebroek(Holland) レコードは TELEFUNKENのマークがありますが、DAS ALTE WERK の SAWT 9474-A Ex(ステレオ輸入版)です。 今回CDを購入しLPを聞き比べてみないとわかりませんが、このレコードと同じ音源であれば1965年4月28~29日の録音ということになります。40年近く前に購入したものです。ご参考になればと思い投稿しました。 手元に来ました、秋の夜長、グラスを片手に聞きたい曲です。
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