国枝史郎といえば伝奇小説であるが、「愛の十字架」は演劇調のラブストーリー、「建設者」は作者の自伝小説で舞台は現代である、別に発刊されている『国枝史郎伝奇全集』とは色がすこし異なる作品になっている
「愛の十字架」は女に振り回される男の話だが、いつもどおりの講談調の語り口と予測できないストーリーは圧巻させられ読後感もさわやかで、終わり方にも余韻が残る 当時流行った『真珠婦人』から影響を受けたのであろう、と本の末尾にある解説には書かれていた
あの神州纐纈城を、あの石川賢がマンガ化! 完全描き下ろしで全ページみっちりきっちりびっちり ハードでバイオレンスでアナーキーな石川賢世界が堪能できます。 しかし全四巻でページが足りるの?
昭和初期に活躍した国枝史郎の魅力といえば、ほとばしるイマジネーションを基にした雄大なストーリーとケレン味溢れる設定ですが、その一方で、かっちりと纏め上げた短編の書き手でもあります。この傑作選は代表長編と佳作とされる短編数編を収録し、国枝史郎の入門篇としては、なかなか良い仕上がりになっています。国枝を読み込んだ人には多少の中途半端さを感じさせますが、ロマンの香り濃厚な幻の処女戯曲集の復刻を見逃す手はありません。文庫としてはやや高めの価格も、本のボリュームを見れば納得でしょう。すべての伝奇(時代)小説ファンに勧めたい一冊といえます。
時は戦国。霊峰富士の裾野に広がる密林を抜け、本栖湖湖上に聳える纐纈城。そこに住まうわ悪鬼羅刹の群れ。城主としか其の名を知られない仮面の男は業病を患い、その治療の妙薬を得るために、近隣の村々から人々をかどわかしては、その生血を絞り臓腑を食らうという。
纐纈城を脱出した甚太郎は、謎の思索家光明優婆塞に助けられ、辛くも一命を取りとめた。また、三合目の陶器師も優婆塞と出会い人切りができなくなる。
そして。。。纐纈城を生きて脱出したことがあるもう一人の男、蜂須賀小六の手引きにより、纐纈城を攻め入る織田信長の軍勢。
霊峰富士に抱かれた幽玄の魔境纐纈城にも、戦乱の炎は燃え広がる。そしてそれは、日の本の国を破滅に導く導火線になるのか!
常人なら近づいただけで爛れ死んでしまう纐纈城城主対織田機械化軍団。その激戦をよそに、正三郎は再び纐纈城を目指す。。。。次の城主となるために。。。。
数奇な運命に導かれ、複数の勢力が纐纈城を中心に、石川タイフーンとして荒れまくる。一気呵成に読み上げるべし!
完結しないストーリーだからこそ読者の想像力を刺激し傑作として読み継がれてきた小説を、完結しないイマジネーションの奔流を描き出す石川賢がコミック化。爆発力二乗。まさしく石川賢にしかできない世界。 感動させない。圧倒させる。捻じ伏せる。
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